罠
「おはようございます!跡部先輩。」
「あぁ。」
いつも同じ時間に会う人
氷帝学園テニス部の部長・跡部景吾
別に年上ってなだけで
マネージャーでも女子テニス部でも
なんでもない私。
ただ、気になる存在。
でも、先輩にはいい顔しておかなきゃ損でしょ?
だから、目立っている先輩にはいい顔してるの。
「おはよう!」
「おはよう。」
話しかけてきたのは、クラスの友達。
「昨日さ〜・・・・・・・」
よく世間話してくれる。
でも、きっといつか離れていく
ただの友達。
「ちょっと。聞いてる?」
「聞いてる。聞いてる。」
「もぉ〜」
「・・・」
っと鐘の音が鳴り、彼女は手を振りながら席に座った。
いつもと変わらない毎日。
くだらない。
そう思っていた。
『じゃ〜ね』『また明日』『俺、部活だよ〜ダリィ』
そんな声が聞こえる放課後に
私は帰宅する。
すると目の前に誰かが立ち止まった。
じゃまだな〜っと顔を確認しようと
上を向いた
「あ、跡部先輩!」
立ち止まっていたのは跡部だった。
「おまえ、毎朝ごくろうだな?」
「何のことでしょうか??」
「毎朝、俺様に挨拶してくるじゃねーか」
「あぁ!だって、先輩は有名人みたいなものですし、
それに、一方的に知っていても挨拶は基本ですもの!」
なぁ〜んてかわいこぶってみたけど、別に意味はない。
「まぁ、挨拶は基本だが。俺はお前を知っている。」
「え!そうなんですか〜。嬉しいです!でもなんで??」
私は名前を教えた覚えも何もないのに・・・
「お前も有名人だからな。」
っと、跡部の一言に驚いた
「どういうこと??」
「お前、誰にでも抱かれるらしいじゃないか。」
「はぁ?何の話?」
「学校中の有名な話だ。」
「ちょっと!勝手なことを言わないで!!」
身の覚えのない話をされ、私はとにかく否定し続けた。
いったいどこでそんな話になったのかさえもわからない。
そんな噂があるのなら、なぜ話しかけてくるのだと自分に問い詰め
まさかと跡部に問いかける。
「先輩、そんな噂を信じて、私とならヤれると思ったの?」
「っふ。噂ってのは所詮噂だが、噂にも真実はあるからな。
俺様が、確認してやろうって思ったんだよ。」
「信じられない・・・。」
最悪だった。
私は、普通にただ平凡な毎日を暮らすだけだったのに
猫をかぶっていたのが、逆効果だったの・・・?
わからない・・・
無愛想だったのが、いけないの??
すると、目から大粒の涙が流れていった。
「ちょっと、こっちに来い。」
そういって、私は手を引っ張られ屋上へと連れて行かれた。
犯される・・・
ただ、それだけを思っていた。
「・・・」
私は、恐怖のあまり目をつぶった
しかし、跡部はただ抱きしめただけだった。
「せ、先輩?」
「お前にもそんな顔できるんじゃねーか。」
「?」
「卑怯な手を使って悪かった。」
「どういうこと?」
「俺様に毎朝毎朝、挨拶してくる奴の顔は大体覚えてる。もちろんお前もだ。」
「・・・」
「だから、お前を廊下で見た時、朝の顔とは違う無表情で、
ついでに1人でいるんだなと感じた。
それから、変な奴だと思えば思うほど気になり始めてた。」
「だからって、さっきのは・・・」
「あぁ。俺様は卑怯だからな。」
っと、頭を撫でながら言った。
「お前は、綺麗な顔をしているし、自分を持っている。
見かける度に俺様はそう思った。」
「結局何が言いたいんですか?」
何となく、予想はできた。
でも・・・
本人の口から私は聞きたかった
「お前も卑怯な女だ。」
「そうね。」
私は、すべてを悟ったかの様に涙を拭き
跡部の顔をまっすぐ見つめた。
「俺様は、が気に入った。
しかし、お前のことを知らねぇから、まずは隣においてやってもいい。」
「ふふ。じゃぁ〜私も先輩のことをもっと知っていきたいから
隣にいてもあげてもいいわよ。」
「気の強い女だ。」
「先輩は卑怯な男じゃない。」
彼の告白を受け入れ、軽くキスを交わした。
これからの跡部の彼女としての人生は、きっとつまらなくない。
くだらなく、平凡な日々とはおさらば。
楽しくなりそうだわ。
「そういえば、本当にそんな噂が出回っているの?」
「あぁ?そんな事まだ気にしてんのか?嘘に決まってんだろ。」
ですよねー。
「でも、なんで私の名前知ってるんですか?」
「んなこと、見ればわかるだろ?」
「いや、わからないですよ!」
「お前の鞄に、苗字だけだが・・・
名前のついたキーホルダーがついてんじゃねーか。」
「・・・あ。」
「お前は、これから俺の女になる。
猫をかぶるのもやめな。」
「はぁ〜い」
跡部にはすべてお見通しってことですね。
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お久しぶりです!
そして中途半端な作品で申し訳ないです。
正直、upしないでおこうと思う作品で
でもupしちゃった感じです。
跡部、酷いですね(:ω:)
実際、こんな人いたら私なら殴ってます!w
でも、跡部とこんな主人公だから変わった内容で書いてしまいました。
唖衣